そして伝説へ③ ~モーツァルトとシュタードラー~

1784年、
シュタードラーが演奏したモーツァルトの13管楽器のセレナーデが記録的にシュタードラーが初めて演奏したモーツァルトの曲とされています。

その時の聴衆の中にいた評論家からもシュタードラーの名手ぶりは大絶賛されるほどでした。

シュタードラーは、クラリネットの特に低音の音が好きだったので、普通のクラリネットより4つ低い音、下のCの音まで出せるA管のクラリネットを作ってもらっていました。

そのクラリネットは後にバセット•クラリネットと呼ばれるのですが、彼の使っていた楽器は残念ながら現在保存されずに失ってしまったそうです。

1789年
北ドイツの旅行から帰ってきたモーツァルトは、妻の病気もあり極度の貧困状態にありました。

その時、シュタードラーが苦しい家計を援けるため依頼したのがこの曲だと言われています。



どちらの曲もシュタードラーのために書かれたので、実際はバセット•クラリネットを使用した楽譜になっていますが、不足した4つの低音を変えたクラリネット用の楽譜が現在では広く伝えられています。
そのおかげで今でも馴染みある曲としてたくさんの人に演奏されることができています。

これら2つの作品は、
本当にクラリネットの魅力を最大限に生かしており、天国的な、現世とかけ離れた世界観さえ漂っています。

いたってシンプルなのに、どうしてこうも美しいのだろうかと、ため息すら出るほどです。


シュタードラーという素晴らしい奏者がいて、それに影響を受けたモーツァルトがこれらの素晴らしい作品を書いてくれたことにより、後に無数の素晴らしい作品が生まれました。

まさにクラリネットの原点のようなものがこれらの作品にはあり、それは伝説といえる、運命の出会いがきっかけで生まれたのでした。

2人が出会わなければ
クラリネットは進化してこなかったかもしれないし
素晴らしい数々の作品が産声をあげることもなかったかもしれない。
そう思うと今私がクラリネットを吹いていることもここに繋がってるんだなぁ...としみじみ思います。

素晴らしい出会いに感謝しながら、演奏したいなぁと思います。

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